立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

〜のような人

10代後半から20代後半くらいまでは、身なりにいろいろと気を使った。特に髪型はオシャレで一番重要、髪型さえ決まっていれば後はどうにでもなると、家具は全部ニトリでいいが、一つだけ高級なやつを置いとけばそれなりの部屋に見える論と一緒だと思っていた。(あながち間違いでは無いと思っているのだが、オシャレな人に聞くと、やはり足元の方が重要らしい。)


その頃は茶髪にしていたし、さらにパーマを当てようか悩んだり(実際は当ててない)、はたまた髪を天に届けと言わんばかりのツンツンにしようかと悩んだり(実際はしてない)、髪型には強めのこだわりを持っていた。


30代も過ぎた頃だろうか。モテへの探究心がやや薄れつつある頃、突然髪型なんてどうでもよくなった。


清潔感。


必要なのはただこれだけな気さえしている。美容院へ行ってもイメチェンしたねって言われない程度で適当にとお願いしている。


そんな様に見兼ねてか、同居人の彼女から、私、今の仕事か美容師かで悩んでいたのと、聞いてもいないカミングアウトをされた。程々に空気は読めるので、切りたいって事なんだなと瞬時に分かったし、少しだけ身構えたが、彼女もいい大人。彼氏を自分好みに変えたいのか、人生の選択を迫られ捨ててしまった夢が忘れられないのかはわからないが、あまりにやんちゃな事はしないだろうと、最悪坊主にすればいいやなんて安易な気持ちでオーケーした。


自分から言い出しただけあって、手際よく私の髪を切ってくれ、私はフムフムとパクチーの育て方とソーセージの作り方を調べているうちに、これといった事故もなく終わり、出来栄えも決して悪くなく、むしろ良くて、4000円程払って尚、知らない人に切られ、見られて話しかけられる事を考えると、一瞬でも身構えた事を謝罪したくすらなった。


彼女自身もうまくできたと上機嫌だし、お金は浮くしで一石二鳥、メデタシメデタシである。


が、違和感は数日後に訪れた。普段から最低限の身なりには気をつけている程度なので、私は鏡を見る機会があまり無いのだが、職場やコンビニのトイレでふと鏡に目をやると、


いとうせいこうの様な人がいるのである。


いとうせいこう、いまいちジャンル分けしにくい人なのだが、口ロロを初めて聞いたときは衝撃的だったし、他にも俳優や作家、バラエティタレントとしてあらゆる場面で活躍している、打ってよし、走ってよし、守ってよし、メディア界の坂本勇人のような人である事は言わずもがな。出過ぎず引き過ぎず、力を入れ過ぎず抜き過ぎずのスタンスが心地よく大好きなである。


最近、よくそのいとうせいこうの様な人が鏡に写るのである。


さてさて、今夜も夜が深くなってきたので、軽くなった髪に反比例して重くなる体重を心配しながら眠るとします。それでは。