立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

備えあれば憂いなし

甘く見ていたつもりはないし、むしろ予定通りだったと強がりたい。ほとんどの場合うまくいかないことの方が多く、だからしっかり準備をして不測の事態に備えるのが、経験を積んだ大人というものである。


カレールウとジャガイモと肉がない。嫁に何食べたいかと聞かれたから、なぜか日曜に異常に欲するカレーと答えたところ、冷蔵庫の前でそう呟いた。独り言だなと思いそっとしておいたのだが、カレールウとジャガイモと肉がないと、今度は少しだけ強めの声質で呟いたので、新品のビルケンを履きたかったのもあるし、俺買ってくるね〜とエロいことがあるのかないのかわからない曖昧なマッサージ屋をネットで探すのをやめ、出かける準備をした。夕立くるかもよ、傘もっていったらと言われたのだが、自転車で行くし10分くらいで帰れるから多分大丈夫と言い残して家を飛び出し、黒い雲を確認しながら、間に合う間に合うと気軽な気分で自転車飛ばした。近くの八百屋は、無農薬、美味しい、健康の文字に加えて、野菜を作った農家の名前と写真が並ぶ、今どきの意識高い系御用達店舗である。


店舗に着くと、前でジャガイモの詰め放題をやっていて、これはラッキー、でもそんなにたくさん詰め込んでもなと、袋をしばれる程度に詰めレジに向かったのだが、20代と見える可愛らしい男子がレジ番をしており、その周りを外国人マダム達が囲い談笑していた。はじめは若いのに英語喋ってきちんとコミュニケーションとって偉いなあと思っていた。素敵なことだと思うし、マダムたちの表情を見ると好印象を抱いているようなのだが、しかし、しかしである、話がまあまあ長いのである。すごいすごいよ、レジの人。君はすごい、英語で受け答えしてしかも、マダム達が爆笑じゃないの。でもね、後ろに中学レベルのイングリッシュで精一杯だけど、何度もマニーをこの店に落としているジャパニーズマンが並んでいるのはわかっているよね、何度か目が合っているよね、談笑もいいが、まずは手を動かして清算しなさいよ、レジ終わってから話しなさいよと、心で怒鳴って目で訴えて、ようやく私の番になったのはそこから15分もたった時だったろうか。本当に美味しい野菜が並ぶし、近所だし助かっていたのだが、多分もう来ないよと心の中で言い残して店を出た。


土砂降りである。


幸い肉屋も近いのでとりあえずはなるべく濡れないように肉を買い、コンビニまで自転車飛ばしたが、夕立は思ったよりも強く激しく、一瞬でパンツのなかまでびしょ濡れになった。もしも、日曜の夕方、全身ビショビショの曇ったメガネでカレールウを買って、400円出したつもりが301円で、コンビニの店員さんと変な感じになっている人を見かけたなら、きっとそれは私である。


濡れてしまったものはしょうがないし、カレーも美味しく作ってくれたし、まあいいのではあるが、ビルケンは新品だったのだ。いつか汚れるし、サンダルだから濡れることくらいはどうってことはないはずなのだが、昼間に購入し、今年は三本ラインを楽しもうと、ウキウキで家の中で試しばきまでしたビルケン、その3時間後にはビッチョビチョ。全然良い全然良いと思い込んでいるだけで本心は全然良くないと気づいてしまった時の怒りの矛先は、やはり長話の彼にいってしまうのだが、彼も仕事していただけと、なるべく寛容な心でリラックスして眠ろうと思います。それでは。