立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

アバンチュール

あの女性からここ1〜2年、とんと電話もメールも来なくなった。恋愛対象であれば、きっと彼氏でもできたのだろうと納得ができるし、友達であれば嫁のいる私に気を使って遠慮しているのだろうと思うのだが、あの女性とはそんな関係ではないし、こちらから電話やメールするのもおかしな話である。


以前私のケータイに、〇〇体育館のプールの水の止め方がわからないので、そのままにして帰りますや、明日正午にお客さんの元に出向いてご飯を食べるから弁当無しでいいという類の、緊急を要しそうな事や、結構重要だなと思う要件が留守電に入れられていた。


それも、当時私の週一の楽しみである深酒をすると決めていた土曜の夜も10時を過ぎた頃に掛けてきていたので、気づかず昼過ぎまで放置という事ばかりであった。


日を空けずに、明日どうしても人手が足りないので半日でもいいから出勤してもらえませんか、とメールが一通。仕方ないので、番号違ってませんかと返信すると、そこから一切連絡がなくなったのである。器が大きい私でもさすがに、ごめんやありがとうの一言が無いことにイラっとはしたが、今後電話の前でかけ直そうかどうか悩むこともなくなるし、ということでとりあえずは良しとした。


つい先週のことである。久しぶりに留守電にメッセージ。見覚えある番号だなあと思った瞬間一瞬にして全てを思い出した。あの彼女、過去の女である。


久しぶり。声が聞きたくなって。


そんなドラマティックな留守電ならば、夏より熱く、ブラジル人より激しい情熱がメラメラと燃え上がるかも知れない。可能性にして1パーセントは無く、というか0パーセントではあるが、期待して妄想して少し心踊らすくらいならバチは当たらんだろう。さてさて今回は何と入っているだろう、少しだけワクワクしながら聞くとまさかの、


お久しぶりです。


これはもしかしたらもしかする。8月の休みの確認くらいはしといた方がいいだろうか。間違い電話から始まる恋があってもいいじゃないか。冗談が本当になる気がして胸が高まった次の瞬間、


念のためプールの水止めました。


水の止め方がわかって良かったと喜ぶべきか、アバンチュールのお誘いではない事を悔しがるべきか、また間違わぬようにメール一本入れとくべきか悩ましいのだが、そんなことはさて置き、録り貯めたドラマの消化に忙しいので、本日はこの辺りで失礼します。それでは。