立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

予知夢と思い出

本の文字が見えないくらいの薄暗い部屋に一人、目を凝らさずとも存在がはっきりとわかる、どこをとっても均一で薄い綺麗な黄色が食欲をそそる、ふっくらとした美しいだし巻き卵を、鳥と鰹でとった醤油風味のあっさりした熱々のお出汁に浸してハフハフしながら食べていた。浸せば浸すほどにほどけ始めるだし巻き卵をゆっくりと堪能したいが、お出汁に溶け出して消えてしまうんじゃなかろうかと、火傷覚悟、一心不乱で頬張る、という夢を見た。


夢はその時の精神状態や忘れていた記憶を映し出すことがあるようだが、薄暗い部屋、美しい黄色のだし巻き、あっさりお出汁が示しているものとは何だったのだろうか。部屋だし巻きお出汁、暗い美しいあっさり、部屋美しいお出汁、…頭の中に残っているワードとイメージを何度もいろんなパターンでミックスしても何も思い浮かばず、だし巻きとお出汁ってかぶってるなあという思惑が強く残ったのでその晩、だし巻きを焼いて食べた。


忘れることはもちろんあるが、起きた時に割とはっきり夢を覚えていることが私は他の人よりは多いと思うし、その夢に出てきたものに影響されてしまうこともある。高校の時、今から思えばタイプではなく意識をしたことのない女子を好きになったことがある。たった一度夢に出てきただけで好きになった。結局一度もその子と話すことなくその恋は始まりもせず終わったのは言うまでもないが、その子が目の端に入っただけで一人骨抜きになっていたのは懐かしい。トロけかけた片思いの思いでであった。


だし巻きしかり片思いしかり、現実の行動が夢から影響を受けていることは少なくない。そういう意味では、どちらも予知夢だったと言えるかもしれないし、仮に、他人の夢を操れる技術があれば、この世を思いのままに操れるようになる。昔そんな映画があったような気がするが、技術的にいつかはそれができる日が来るとしたら、夢の記憶が強く残るタイプの私は弱い立場に追いやられるのではなかろうか。もしかすると、すでにその技術はできているとしたら。今朝、なかなか取れない排水溝の汚れを、何度もなんども雑巾で拭きとろうとする夢を見たのだが…。…いやいや、考えすぎである。


たまには素敵な夢を見たいと思うので、いい匂いのする消しゴムを枕元に置いて眠ろうと思います。それでは。