立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

便意、予測、アプリ

笑うと前へ進み怒ると後ろへ、顔を傾けた方向によって転がる向きを変える、表情をスマホのカメラで読み取って、ボールの行き先を操作できるラジコンのようなおもちゃが発売されたようだ。アプリを駆使すれば何でもできる世の中になったもんである。


今やアプリでできないことを探す方が難しそうだが、私も一つ、ここで実用的なアプリのアイデアを提案したい。


「便意予測アプリ」というのはいかがだろうか。


何をバカなことを、汚らしい、下ネタはごめんだ、という方々、タイトルだけでそう思うのは少々早合点というもの。トイレに入りながらで結構なので、ほんの少しばかり耳を傾けてはくれないか。


さて、どうしてこのアプリを思いついたかを語る上で必ず必要なのが親父の威厳である。


昔から今へと時代が変われば家族構成や力関係も次第にバランスを崩し、立て直しを図るために、誰かが弱くならねばならぬ構図が多くの家庭で見うけられた。


かつて、親父はどの家庭でも最高権力者だった(※サザエさん参照)。地震雷火事親父と言われ、災害に匹敵するほど怖いものだと例えられたものである。


家庭内のバランスを取るために、また家庭を守るために、進んでその強さ、威厳を放棄したのが、親父なのである。だから絶対的ではなくなりつつある親父に感謝し、なくなりつつある威厳を敬愛や尊敬に形を変えてでもいいので、大切にすべきなのだ。


そこで、親父の威厳を守るために重要なことの一つが、長時間トイレに籠る親父に早く出ろなんて言葉を使ってはいけない、である。トイレの中で新聞を読む行為は、昔ながらの親父に見るべき姿なのだから。ウンコが出ずにトイレに長居するのではなく、新聞が読みたいからトイレにいるのである。想像だが、トイレという聖地は、リラックスと集中の両方が得られるのではなかろうか。トイレに新聞は古き良き時代のスタイルなのである。


今は新聞がスマホへと形を変えてはいるが、長い便所、略して長便が親父のスタイルということを断じて否定してはならない。洋服の青山が女性物の高級ランジェリーを店へ並べないのと同じ原理である。


ここまで言えば感のいい人なら「便意予測アプリ」がなぜ必要か分かり始めているだろう。


そう、家で一つしかないトイレで、例えば家族4人では需要と供給がうまくいかない日の方が確実に多い。かく言う私も幼少期、漏れと戦う日々であり、部屋で悶絶、なかなかでて来ぬ父に殺意に近いものを覚えたが、それでも早く出てなんて言ったことはない。


それも親父の威厳に触れられなかったからである。私の身には幸い悲劇は起きなかったが、それでもやはり、「便意予測アプリ」があれば、父の便意到来時間、母の到来時間、自身の到来時間をそれぞれシェアすることが出きるなら、日本中の悲しみの1%は減るのではないかと密かに思っている。