立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

始球式でスリーアウト

小学生の時、近所の小太りの幼馴染が下からそうっと投げるボールをフルスイングでクリーンヒットできたとき、一瞬だけ、ほんの1秒だけ、プロ野球選手になろうと思ったし、なれると思った。バカだと思うが世間のせの字も知らぬ小学校上がりたてだったからという理由を全面に押し出せば、多くの人は見逃さざるを得ないはず。


例えばである。そんな世間知らずだった小学生が大きくなり、プロ野球の選手にはなれなくとも、開幕戦の始球式に指名されとしよう。大好きな球団のユニホームが着れると、数日前から肩をグイングイン振り回し、今か今かと鼻息荒く待ちわびて、居ても立っても居られなくなり、ストレッチ、ジョギング、ダッシュ、キャッチボール、遠投と、練習に思いのほか熱が入りすぎ、体をほぐすどころか肩を壊して肘を痛めて足首を捻り、本番直前、たった一球が投げられなくなり辞退する。もしかするとその時の心境に似ているのかも知れない。


今年の勤務も残すところあと10日。先が見えてくるととたんに襟を正して背筋を伸ばして、よっしゃよっしゃと気合を入れ直すのは私だけではないはず。


終わりを良くすれば全てが丸く収まるような気がして、良い年末を迎えられる。だから今日は意図的に、ラストにスパートでもかけたろかと、いつもよりも早くに起きて、それこそ朝から洗い物しながらストレッチして、体を温めていた。ご飯もいつもよりしっかり噛んだし、大の方も2度に分けて多めに出た。歯を磨いたし顔も洗ったし、準備は整った。後は出立の時間を待つのみと、ソファに横になった私がバカだった。


気づけばその出立の時間を15分もオーバーしていた。内心焦りつつ嫁に余裕の表情で行ってくるよと軽く手を振り、家を出て、腿が破裂しそうなほど自転車漕いで、どうにかこうにかギリギリセーフで会社に着いたが、そこで家に財布を忘れたことに気づいて、帰りに頼まれていたパンを買いに行けないのでワンアウト。さらにはまだアイロンを掛けていないカッターシャツを着ていたのでツーアウト。あと一つでスリーアウトなのに、他は何一つ悪いことがなく、オチがつかないので逆にスリーアウトである。


このままでは良い終わりを迎えれそうにないので、まずは擦り減ってパンツがうっすら透けてきている仕事用のズボンを買い換えようと思います。それでは。