立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

波を変える方法

フリスクの好きだった味が行きつけのコンビニから忽然と姿を消したとか、昨日寝るときから楽しみにしてたのに朝になると納豆のことを忘れていたとか、温かいという言葉に踊らされて買った安物の靴下が信じられないほどスースーするとか、だからどうしたと言われたら次に発する言葉に詰まってしまうが、コンビニ店員でもいい、知らない誰かから笑顔でありがとうと言ってくれれば忘れる程度の小さなアンラッキーがここのところ立て続けに降りそそいでいる。


もしもバファリンの半分が本当に優しさでできていたなら迷わず飲む。二錠でいいところを三錠飲む。小さな不幸もコツコツと貯まれば大きな不幸と等しくなり得るし、一度運が悪いなと思い始めると、悪い場面ばかりが気になってしまう。多分、今私の心はかわいている。乾燥した鶏胸肉のようにパサついている。だからどうしたと言われても、どうもしない。疲れた、怠い、面倒臭いのあまり喜ばれないセリフだけはなるべく発せぬように気をつけながら静かに1日を終えていくだけである。


例えば、信号待ちで、3メートルは優に超えるであろう4人組の外国人に、ヘローと声掛けられ道を訪ねられたとしましょうか。今時珍しい、iPhoneではなく紙面の地図片手に流暢な英語で聞き取れた単語を繋げて想像したところによると、多分「金閣寺はどうやって行けばいいんだ、ボーイ。バスか、ボーイ。それとも徒歩で行けるのか、ボーイ。アイドンノーは無しだぜ、ボーイ」と話しかけられたとしましょうか。


そこがもしも、三条西洞院あたりなら徒歩で行けなくもないが途方にくれるほど遠いと思うのでバスがいいですよ、よってバイバス、と言えればいいが、いかんせん相手はもはや4m近くある大男4人組。こちとら膝がガクガクするほどビビってるわけで、アイムソーリーとその場を立ち去ろうとするのが精一杯。しかし進行方向にたち憚るように、尚も地図をぐいぐい胸元に押し付けられたので、仕方なく覚悟を決めて得意のiPhone取り出し10分に渡って一生懸命説明したら、スペシャルな笑顔とシェイクハンズでお別れできたなら、少しは心が潤うと思うのです。


だからと言って5mに及ぼうかという大男の相手はしたくはないが、それでも苦労の先には潤いが待っているような気がするので、今夜はパンクした自転車を押して帰ることにしたのでした。おしまい。