立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

唐揚げと生命保険のコラム(広告)

いい歳だし家庭も持ったしで、機は熟したと言えるのではないだろうか。もしものことがあった時のために生命保険の一つにでも入っておかねばと以前から考えてはいた。貯金が苦手なタイプなので尚更必要なことだろうと思い、わざわざ石川から出てきた営業さんからの提案を受けて、これはいるけどこれはいらない。いや、これは必要ですよ。それはそうと安くしろ。安くなりません。人情だろまけろよ。何が人情だ無理に決まってんだろ。客に向かってその口の利き方は何だこのうんこヤロウ。お前なんか客じゃねえよ屁こきヤロウ。表でろ。という具合で言われるがまま素直に保険に加入したまではいい。一つ予定通りではなかったとしたらそれは時間である。


空いてる時間はと聞かれて午前中と言っておいたにも関わらず終わった時間は午後の2時半くらい。その日は東寺で毎月21日に開催される弘法さんと呼ばれるガラクタ市の、今年初開催する日で、しかも日曜ということもあり、散歩がてらに骨董の掘り出し物でも探す予定であった。夕方4時くらいから店仕舞いが始まることを考えると残された時間に猶予はないが行けないこともない時間。とれていない昼食は弘法さんで数多く出てるだろう出店巡って食べ歩きでもするのもたまにはいいよねと急いで支度し、バスに飛び乗った。


その時点で花より団子な我々の焦点は骨董よりも唐揚げに移っている。出店と言えばまずは唐揚げで間違いはない。唐揚げで口内環境を整え胃腸のウォーミングアップを終えた後、おでんや焼き鳥、お好み焼き、たこ焼き、時にはベビーカステラなどでお腹を膨らますのがベターである。


であるからして、東寺に着き大勢の人の波を掻き分け掻き分け、最初に向かった先は唐揚げ屋さんである。ただその唐揚げ屋、残念ながらの売り切れで、だけども唐揚げ屋なんて山ほどあるのは知っていたし、早歩きで次の唐揚げ屋に向かったが、着いた時にはそこもすでに店仕舞い中。心がざわざわとする悪い予感ほど当たるもので、次もまたその次も唐揚げは売り切れであった。


「晴れ、日曜、ガラクタ市、唐揚げ屋=一番儲かる商売」ということを心のノートにメモだけし、とにかく何でもいいからと目の前のたこ焼きを買ってベンチに座る。このたこ焼き、形は球とは程遠くいびつではあったが、見るからになかなかのボリュームであることが私の心をくすぐった。


一口でいけるかどうか悩める程の大玉に、かつて学生時代の胃袋に入るものは何でも入れていたあの時の食欲を思い出し、我慢できんと、一つをパクッと頬張った。ハフハフしながら食すのが美味いじゃないかと言わんばかりにハフハフしたが、中はできたてのアッツアツ。あまりの大きさに舌の同じ部分にトロッとした熱源が何度も当たり、転がそう転がそうと試みるが、大きさ的に困難で、だからと言って大勢の前で吐き出すことは、捨てきれないプライドがそうさせない。


猫舌かと聞かれたらはっきりノーと言える。うどんやラーメンはアツアツのままスープまで飲み干せるし、当然ながら火傷した記憶すらない。だからお聞きしたいのだが、たこ焼きによる火傷は、保険でおりますかね。