立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

コラム-私は気の利く優しい愛情深い夫

朝嫁に三千円握らされた。仕事の帰りに、切らした卵を買いに行くと言ったからである。卵はだいたい10個で200円、ラッキーな時はセールで100円で買えるし、300円もする高級品は我が家には必要ない。


当然、オムライス屋やだし巻き卵屋を経営しているわけではないので、どう見積もっても三千円もあれば、そのほとんどは余ることになるが、お釣りはどうしたらいいかなんて野暮なことは聞かない。もちろん私のお小遣いにするつもりはないし、女の子とご飯に行き、これタクシー代だからと、あわよくばを心に描きながらも下心をひた隠しにする所謂余裕のある大人を演じながら、ご飯は奢られるものと思っているどうでもいいくそガキにチップを渡すつもりもない。


例えば掃除用具や買っても買ってもすぐに紛失するボールペンなど、家の備品の足りないものを把握しといて、それらをさりげなく補填する。それが「気の利く夫」だ。そして私は気の利く夫でさらに加えて愛情深い優しい夫なので、嫁の好きなパン屋に寄って、朝ごはん用の食パンと数種類の惣菜パン、菓子パンを買って帰るのである。


嫁は大のパン好きだ。京都のパン消費量は全国一位らしいが、その一人当たりの平均値を嫁は大きく上回るだろう。それくらいパンが好きだし、朝食は必ずパンである。だから我が家のパンの消費量はアメ車のガソリンの如しで、パンの残量には注意が必要なのだ。


毎朝さりげなくパンの残りをチェックし、少なければ補填する。優しいと言われたいわけじゃない。ご機嫌を取りにいっているわけでもない。私が愛情深い気の利く夫なだけだ。


本日もパンに切手にお米にゴミ袋に、アドリブ効かせてオイスターソースまで買って帰ったはいいけれど、目的の卵を買い忘れていた。めでたし、めでたし。