コラム-気まずい他人同士
あっと言う驚きの表情の端々に羞恥と後悔が見て取れ、悪いことをしたとむしろ私が気に病みそうだった。
いつの頃からだろうか。見てはいけないものを見たとき、目を逸らしたり知らん顔したり興味ありませんよみたいな顔をするようになったのは。それが良いことだろうと悪いことだろうとなるべく関わろうとはしなくなったが、それでも見た方が加害者、見られた方が被害者という関係が不思議に成り立つことが度々ある。何も悪いことはしていない。覗こうとして見たので無ければ罪悪感を感じる必要はまったくもってないはずなのだが、気の弱い人ほど罪悪の思いに苛まれてしまうのだ。
悪気があったわけではないが、だからどうしたと強気になれるわけでもない。自動販売機でコーヒー買おうとする行為にドラマめいたハプニングも望んではいない。だが、すぐそばの角から、1人のレディがまあまあ大きな声でエグザイル歌いながら出てきたら、そりゃ思わず見てしまう。目が合い、しまったと思った時にはお互い気まずい空気が流れたが、私はすぐに目を逸らし財布の小銭を取り出し自販機に入れる作業に戻り、そのレディが後ろを通り過ぎる気配を感じながらコーヒーのボタンを押した。
行き先が同じ方向ということに不安を感じながら、ジュース取ろうとしゃがんだ拍子にケツからブッと出た。