立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

雑記-訪問販売

目を閉じれば1分を待たずして眠れるし、眠りたくない時は軽い伸びをするだけで、眠気を一旦忘れることができる。たとえ夜更かししても、いつもと同じ時間には、眠いし体は怠いけれども、それでも目は覚める。先日まで引いていた鼻と咳と怠さが煩わしい風邪が治ってから好調である。なのにどうして、今度は便秘に悩まされている。


大学時代、私は学生向けのマンションが多く建ち並ぶ地域で安アパートを借りていた。あの日私は、辛いのが苦手という友人からいただいた、レトルトの激辛カレーとやらを食した数時間後トイレで冷や汗をかきながらウンウン唸っていた。当時はスマホのようなものはなかったので、そこらにあったマンガ片手に便座に腰掛け長時間格闘していたように記憶しているのだが、その時家のチャイムが鳴った。


新聞の営業か、キリスト教の勧誘か、いずれにしても私には関係はないし、もっとも今は火の出るような肛門の始末に追われている真っ只中。必然的に居留守を使うことになるのだが、居るのをわかってなのか、どうもチャイムが鳴り止む気配がない。あまりのしつこさに仕方なく肛門を拭き、玄関を開けることにした。よく覚えてないが、もしかすると、今の肛門の状況をコンコンと説明した後に追っ払ってやろうと思っていたのかもしれない。それほど苛立っていたことだけは間違いない。


第一声目を考えながらドアを開けると、そこにはやけにチャラい男性が立っていた。部屋を間違えたのかよ、クソがと思いながら相手の反応を待つと、相手は


お忙しいところすみません、


と切り出してきた。チャラさに似合わぬ低姿勢な彼に、怒鳴る気が失せ、何ですかと聞くと、


「すみませんがこの辺でスーパー銭湯しりませんか」


ですって。呆気にとられていると、続けて、


「実は九州から今朝出てきて土地勘がなくて、へへへ」


だそうだ。何だ学生かと思いながら、大体のスーパー銭湯の場所を教えてやり、和やかなまま解散した。今時、アパートと言えどわざわざチャイムを押すなんて、よっぽど困ってたんだろうな、良いことしたな。第一声目で印象悪くすると、きっと今頃罪悪感に苛まれ、出さなきゃならんものも出なくなる。良かった、きちんと対応できてと少しにこやかにトイレのドアを開けようとすると、またチャイムがなった。


今度は誰だとドアを開けると、また彼が立っていた。


「何度もすみません。実は洋服の訪問販売もやってまして…」


しょうがないので、500円でダサいバッジを一つ買った。