雑記-期待感
先日の台風の時だった。仕事を終え、幸いにも無事に帰宅できた後に、iPhoneの画面に文字が浮かんでいるのを確認、目をやるとすぐにスタンバイモードに入ってしまったが、「卒業以来」という4文字は確認できた。
家に着き台風被害が特になく、嫁の実家、義理の姉家族も問題なしとわかった安堵感からか、久しく関係はないはずの卒業という単語に淡くて甘酸っぱくてだけどもほろ苦いグレープフルーツジュースのような気持ちになった。こんな気持ちはいつ以来だろう。
中学か高校かそれとも大学か。女子と挨拶交わすだけで精一杯、話すたびに緊張する、ウブをまだまだ卒業していなかった世間知らずの若かりし頃が懐かしい。次に続く文章はなんだろう
。「だね」だろうか。30半ば、数少ない知り合いのほとんどが結婚したと風の噂で耳にしたし、私も家庭を持った身。やすやすと誰これ構わず誘えるわけでもなければ、こちらから連絡することもよっぽど大事な用事がなければない。
こんな感じの脂のないパサパサな対応をしていると、不思議なもので少しずつ連絡を取り合わなくなるもんなのですな。そこに来て
卒業以来だね。
なんて甘美な響きだろうか。シンプルでいて奥床しく、青春時代が蘇る、次がきになるそのセリフ。悪くない、むしろ1番いい。少し沸き立つ思いを抑えながら画面をオンにすると、
卒業以来でも大丈夫?
卒業以来…でも…大丈夫…
携帯の前でこのなぞなぞに対する答えを絞り出そうとあれやこれ考えている時にさらにメールが来た。
間違えた。そっち大丈夫?
予測変換で勢い余って送ってしまったようだが、私からの返信は大丈夫、ありがとうだった。最近どうしてるや、たまにはご飯でもといった、旦那さんとの仲を探るような内容でなかったのは、相手が2、3ヶ月に一度は顔を見る男友達だったからです。