立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

雑記-コーヒータイム

ケトルでお湯を沸かしている間に苦味の強いとっておきの豆を挽き、遠くはグアテマラのコーヒー農園農夫の、日焼けして笑うと目尻に深く刻まれる皺を想像して、感謝の気持ちで心を満たしながら、ひとかけらも無駄にしないようにフィルターに移す。一旦、コーヒーサーバーに沸きたてのお湯を移して気持ちだけ冷ましたお湯を再び先が細くとんがったコーヒードリップ用に使っているヤカンに移す。挽いた豆全体に行き渡るように一滴一滴丁寧にお湯を落としながらじっくりと豆を蒸らす。立ち昇る湯気に紛れるコーヒーの香りが部屋を包む。この瞬間のために手間暇を掛けていると言ってもいい。

 


ピンポーン

 


家のチャイムが鳴った。人が浸っているときに…ドアホンの液晶を除くと宅配便のお兄さん。何か買ったっけと思いながらロックを解除してドアを開けると、汗だくでダンボールを両手に突き出すように持った青いユニホームのお兄さんが立っていた。

 


お名前間違いないですかね。ご確認お願いします。

 


箱に貼られた納品書を見たら201号〇〇様と書かれていた。バカヤロウ、うちは102だよ、確認すべきはあんただよ、102と201、似ているようで全く違う。マンションの入り口からやり直せ、このヤロウ、とは言えるわけもなく、うちは102ですよと優しく伝えるのが精一杯。

 


部屋に戻るとまだはっきりと残るコーヒーの香りをフンガフンガと吸い込んで、再び農夫の顔を想像する。海老フライにはタルタルソース、小寒い秋にはコーヒーがよく合う。安らぎのコーヒータイムを楽しもうとしてたのに、お湯の分量を盛大に間違えた。