立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

雑記-ソーセージ職人

先月までは鉄板焼き屋になりたかった。熱い鉄の板の上で焼く肉、とん平焼き、焼きそばを踊るように焼く熟練の鉄板焼き職人になりたかった。断りなくスマホで焼いてる様を撮る若い男女のペアがいたら帰らせるくらい頑固でありながら、美味しく焼けない食材は無いと背中で語る無口な職人になりたかったが、もうどうでもいい。なぜならソーセージ職人になりたいから。

 


子豚一頭、子牛一頭を仕入れて捌くところから朝が始まり、全て手作業で丸ごと一頭ずつをソーセージに加工した、明け方になりようやく寝床に着く。数時間後、また豚と牛を捌くところから朝が始まる。豚と牛、一頭として全く同じということはない。肉の付き具合、骨の太さ、脂の乗り方どこをどうとっても同じことはない。豚牛天候気温、条件を全て考慮して味付けやミンチの大きさ、ケーシング(ソーセージの袋)の種類を変える。豚と牛を熟知した、ソーセージ職人になりたいと嫁に熱弁を振るったのは、ソーセージメーカーが欲しいからである。

 


鉄板焼き職人の時はすんなりと聞き入れて頂き、割と簡単に鉄のフライパン購入に結びついたのだが、今回は違う。何度熱くなってソーセージについて語っても、シャウエッセンがあるじゃないと言われてしまうと、絡め取られたかのように次の言葉が出なくなる。

 


確かにシャウエッセンはキングだ。ウインナー界のキングオブキングだ。スーパーという身近な所で手に入れることができるにもかかわらず、内容量の割に高い。安売りしていない限り隣のパリッと朝食ウインナーに手が伸びることも多いが、シャウエッセンは確かに一段上の美味さだ。それは理解できるのだが、土俵にすら立てずに負けを認めることほど惨めなことはない。

 


ちゃんと勉強するからとおもちゃ欲しさにその場限りの嘘をつく少年のように、プロ級のソーセージができるまで頑張るからと軽い誓いの言葉を言わないのは、大人になったからでなく、フライパンは私のTポイントから買ったが、ソーセージメーカーは家のお金から出るからである。嫁の土俵に上がって負ける勝負はできないから、またゼロからTポイントを貯めたいと思います。それでは。