雑記-恋に落ちて教科書落とした君へ
12月10日午後5時45分頃、四条通りよりも南側、西大路通よりも東側の、少し活気の足りない商店街で、自転車で私を右側から追い抜いて行った君へ告ぐ。
後ろから見てもその躍動するような自転車の漕ぎ方から、ご機嫌でノリノリだと推測するのはあまりに簡単だった。マライアキャリーのクリスマスソングを鼻歌で熱唱しながら自転車の私をなかなかの勢いで追い越して行った中学生くらいの男子、キンとした空気が息を吸うのを邪魔するほど寒いのに君の周りだけ夏のようだね。告白がうまくいったか、はたまた片想いのあの子とクリスマスを一緒に過ごせる約束でもしたのか。いいと思うよ、もしも君とあの子が受験勉強真っ只中だったとしても、恋は走り出したら止まらないんだ。
受験は何度でもチャレンジできるが、一度冷めた恋は、温め直すのに時間がかかる。もしかしたらもう一生同じ恋は出来ないかもしれないし、受験だろうが好きなアイドルのライブだろうが関係ない。クリスマスくらい恋に全力でもキリストは怒りゃあしないし、大丈夫だ。とにかくがんばれ。
どうでもいいが、君がはるか前方を走る道を私ものんびり走っていたんだが、もしかして、アイドルが笑顔でポーズを決めるクリアファイルに入ったプリントと数学の教科書、そして参考書をまとめて道に落として行かなかったか。
あれ、と思った時には君は豆粒くらいだったから追いかける気にもならなかった。悪く思わないでくれよな。だからせめてクリアファイルと教科書、参考書は綺麗に重ねて道の脇に置いといた。
あれから雨は降ってないし、予報では水曜日まで降らない。だから大丈夫だと思う。だけど、知ってると思うけど日が昇ってしまうと、古紙回収車が動き出す。もし見つかったらひとたまりもない。奴ら段ボールは放っていくくせに書籍の類は迷いなく回収しやがるんだ。だからそれまでに何とか救ってあげてくれ。頼むね。