コラム-諦めないことより何を諦めるかの方が大事
世間の主婦の方は特にお困りでしょうし、健康志向の方にとっても辛い冬だと思います。野菜の高騰でサラダだ野菜炒めだお鍋だと気軽にヘルシーな晩御飯を求める事も許されない気はしているのですが、いつも行くスーパーに見慣れないのぼりが立っていました。
全品10%オフ
閉店セールかリニューアルか、それとも年に一度の誕生祭か、滅多なことではなかなかお目にかかれないその単語に心踊らない者はただの金持ちだけでしょう。目に付いた物を手当たり次第という程ではないにしろ、それでも買ったら買っただけ普段よりはお得という事もあり、お米に醤油に冷凍食品にと保存の効く食品中心に買い揃えたはいいのですが、案の定帰りは両手にパンパンの買い物袋です。
指が先か袋が先か、指先が青くなり感覚が薄れるにつれ、どれかを諦めなければ家に辿り着けないのではないだろうかと弱気になりつつあった時、これまた両手に買い物袋の嫁が私に囁くように言いました。
…出てるよ。
あまりに小声なので聞き取れず、とりあえずはイエス、アイドゥーとだけ返し、それよりも指を諦めずに自宅まで食材を届ける方法を考えていたのですが、また数メートル歩いたところで再び、今度はハッキリとした声で
鼻毛出てるよ。
と。両手が塞がっていては少し奥に押し込んだりの応急処置もできないし、だからと言って小雨も降り始めたので、わざわざ歩みを止めるのもバカらしい。どうしようもないこんな時に限って前方からおしゃれな女子の集団が歩いたりするし、結局まず諦めねばならんのはモテでした。