立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

雑学-鼻の下に線がある理由

以上だ。質問は無いな、解散。

 


急に集合をかけられたかと思えば、一方的に言いたいことを吐き散らして解散。あれから6日家に帰れていない。トップの気まぐれには辟易していた。逆らえば有無を言わさず首を切られ、ミスを犯せば出世コースから大きく外れてほぼ再起不能。部下を鼻をかんだ後のティッシュのように捨てるのがこの会社だ。

 


新卒で入社以来、本社の設計部門に僕のデスクがまだ置いてあること自体奇跡なのかもしれない。同期の9割が子会社へ出向か自ら会社を去った。設計の部屋は私と、口を開けば怒鳴りちらす恐ろしい部長以外は入れ替わり立ち替わりが激しい。だから一緒にお弁当を食べたり、休日にバーベキューを楽しむような仲のいい同僚はいない。

 


そんな設計に長年居座る僕はエリートと呼ばれるのかも知れないが、決してそんなことはない。波風立てず、失敗とか成功とかに影響を与えまいとチャレンジせずに、自分を殺し、ただただ無難な選択を間違わずにこなしてきたに過ぎない。入社当初会社のトップに登りつめてやろうという野心はあったが、290円分の10円ハゲができるほどの多忙に、その野心をどこかに仕舞い込んだまま、である。

 


今回のプロジェクトは地球という新しくできる星に住む生き物の設計。なんだかんだでどうにかあと一種までこぎつけたが締め切りまであと数分。時間がない。これに遅れると僕も左遷される。どうしよう、何も浮かばない。こうなったら適当に、二足歩行で知能が高く、戦闘力は持たない。背丈はこのくらいで、一応オスとメスを作って、よし、これでいい。データ送信。ふう、ギリギリ間に合った。どうやら6日ぶりにゆっくり眠れそうだ。

 


…あっ、デザインしやすいように書いた鼻の下の中心線、消し忘れてる。…まあ、獰猛な動物の前では、まず勝ち目はない。いくら知能が高くても、どうせすぐに絶滅するから修正しなくていいだろう。さて帰ってビールでも飲んでゆっくり眠るとしよう。

 


--以来、人は生まれながらにして鼻の下に溝がある。