よく晴れた冬の日
胸がキュッと締め付けられた。
中学生だか高校生だか覚えてはいないが、本気で人を好きになった時には、息苦しいような、胸が締め付けられるような、だけども心地の良いそれを経験した記憶がある。吸えども吸えども肺に空気が入ってこないような、胸に既に何かが一杯に入っているような、想いを伝える言葉を吐き出す事でしか解決できない、そんな青春のものと今回のものとは似て非なるものである。
社会に出て生活していれば、腑に落ちないこともある。ルールを守っているつもりがいつの間にか破っていたり、知らないうちに他人に迷惑を掛けてしまうことも残念ながらあるのだろう。
ある冬の晴れた日、今日も仕事かとえっちらおっちら自転車こいで会社に向かっていた時のこと、10m程先には3人程が車道に広がる感じで井戸端会議、その手前には携帯片手にユラリユラリと自転車漕いでるお父さん。まだまだ現役バリバリの私は井戸端会議の右側を通るお父さんのさらに大外をスルリとかわしたのだが、運悪く前から自転車乗ったお母さん。決して危なくはなかったし、十分にすれ違えるスペースはあったと私は思ったのだが、
自転車はひだりっ(語尾を強める感じ)
と、お叱りを受けた。小さな、それこそ蚊の鳴くような声ですんません…とは言ったものの、胸が締め付けられてたまらなかった。少しだけ優しさに触れたい。今夜は言いたいこととホットココアを一口だけ飲んで、ぐっすり眠ろうと思います。それでは。