コラム-募金する外国人
知ってか知らずか、観光客か日本に住んでいるのか分からないが、コンビニのレジで私の前に並んでお会計をしていたスキンヘッドにサングラス、もっさり蓄えた口髭、ハーレーの似合う、通称強面アメリカ人が募金箱にお釣りで返ってきた数枚の硬貨を全てインしていた。
箱の中でぶつかり合う硬貨の音から察するに、もしかしたら500円玉いっちゃってんじゃねーのかと思った。動揺はしていなかったようだが、10円玉を入れようとして間違って500円玉いっちゃってんじゃねーのかと。その時は気が回らずレジの画面でお釣りを確認するまでに至らなかったが、どちらにせよとてもありがたいことである。
時期が時期なだけに震災について知っていての募金かも知れないし、日本人はこういう外国人には学ぶべき部分は多い。
異国の地での募金はなかなかにハードルが高い。まるで文化の違う国において、無償でお金を差し出すことはなかなかできることではない。よっぽどの日本贔屓かブッダの類か、もしくは募金が趣味じゃないと聞けない話である。
加えて日本は硬貨をよく使う文化で、アメリカや欧州は紙幣をよく使うと聞く。ならば、もしも旅行で訪れたのなら、硬貨の用途が異常に多い日本では金額以上に価値のある硬貨をゆとり持って準備しておきたいところ。私であれば、お金にも心にも募金している余裕はない。
器の大きさがまるで違う。同じ人間と言えども、育った環境も、学んできたことも、言語も違えばこうまで器が違うのかと思うと、もっと大きな人間にならなければと思わされた。
仮にその外国人が旅行客であるならばであるが、チップを入れる箱だと間違えていないこと、500円の価値を勘違いしていないことを願うばかりである。
それと同時に日本人の彼女と思しき女性の運転する軽四に乗り込み、キスをする彼を見送りながら、心からファックユーと念じるのでした。おしまい。