立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

雑記-傘差して自転車は危ないよってお話

朝、ドアを開けたら冷たい冷たい雨が降っていた。聞いてないよ聞いていないよと呟きながら小走りで自転車を取りに向かう。キンと冷たくなった防犯用のチェーンになるべく触れぬよう、臭いものでも入ったナイロン袋を持つように、人差し指と親指の先だけで持ち、ポケットから取り出したカギを挿して開けた。ハンドル部分にチェーンを引っ掛けて、さあ出発だ。自転車に跨るとズボン、ヒートテック、パンツを通してなお、冷たさが尻に伝わる。

 


分厚いジャンバーのチャックを顎の皮膚を挟むくらいまで上げてロシア軍もビックリな大きめのフードを被る。視界は悪いが仕方ない。このジャンバーのおかげでマフラーなしでも上半身から体温が奪われる心配はないが、下半身の寒さとのバランスの悪さがどうも心地悪い。特に足首の冷えが気になるところだが、我慢だ。ジャンバーのポケットから手袋を出して両手にはめ、雨に向かうように自転車を走らせた。

 


折り畳み傘はカバンの中にあるが、傘差し運転はしない。違反とか見回り中のお巡りさんに注意されることがあるというのが大きな理由ではあるが、自転車に乗りながら傘を差すくらいなら電車という甘い選択肢を使う。

 


道のりの半分も来たくらいだろうか。メガネに容赦なく叩きつけていた雨がいつのまにか雪に変わっていた。そりゃ寒いわけだ。信号待ちの人たちが吐く息が白い。仕事じゃなけりゃテンション上がるのにと思いながら、青になるのを待って再び自転車を漕ぎだす。

 


おっと、脇道から自転車がすっ飛んできた。20代前半と思われる女子が傘差し運転している。ぶつかりそうになったが、間一髪ブレーキと急ハンドルが間に合った。お互いバランスは崩したがこけてはない。お前殺すぞという目で睨まれたが、くだらない説教はしないし、睨み返しもしない。なぜなら、交通ルール守れと言ったところでまず話は通じないだろうし、何か言い返されたら今度はこちらが怒りを抑える自信もない。もしも、この深海魚似のブスなんてことを口走ってしまったがために、怒りで我を忘れたこの娘さんがカバンからナイフを取り出さないとも限らない。

 


いつかまた今日のような天気の日、食べかけの熱々おでんの大根踏んで滑ってこけて、靴紐と自転車のチェーンが絶望的な絡まり方をして、大事な仕事に遅刻しますようにと、見えない太陽にお祈りして私からの苦言はおしまいです。