立ち聞きweblog

待ち合わせで相手が遅れてる時とか、何故か眠れない夜とか、通勤や通学の電車とかで流し読みして下さい。

記憶力と記録

妻の変則的な出勤時間に合わせていつもよりも45分早く起き、朝食のベーコンエッグをご飯に無造作に乗っけてプチトマトと一緒にかき込んだ。妻を見送って一服して、めざましテレビを眺めていたあたりから、違和感を感じている。


何か忘れている。


別に何てこともないことだったような気がするけれど、意外と大切なことのようにも思えるし、それが何だか全く思い出せない。変な事はしっかり覚えているけど、肝心な事ほど忘れるのねと、記憶力に自信があった若い頃に言われ自信ではなくただの過信だったと反省した時から、自分の記憶力の頼りなさは誰よりもわかっているつもりである。


その日からなるべくメモを取ったりスマホに記録したりしているのではあるが、最近、メモしたことすら忘れ、そもそもメモしようと思うことすら忘れている。夏の暑さか加齢か病気の類か気の緩みか、はたまたそれら全部かはわからないが、とにかく、何かを忘れていることだけを残して、肝心な部分が私の記憶から消え去った。


白のブラウスが眩しい可憐な女性からお手紙をもらったなら、それを忘れることなどまずないし、嫁の誕生日は何もせずに過ぎてしまったが、別に忘れていたわけではない。山積みのしょうもない仕事の締め切りを忘れたとしても、これほどもやもやするわけもなく、むしろスッキリと晴れ晴れするはずなのでこれも違うとなると一体何を気にしているのだろう。思い出せないものはしょうがないので、いつも通りに会社に行き、いつも通りに仕事した。


仕事中に鳴ったアラームは、確かに私が何かを忘れないようにと設定したわけだが、それが何かを思い出せないとなると、その設定も無意味で無駄となる。そのまま1日も過ぎて、定時帰宅主義の私は、拭い切れないメガネの汚れのような気持ち悪さを胸にひめたまま、夕立に怯えながら急いで自転車漕いで汗だくだくで家に着き、シャワーをサッと浴びたところでようやくそれが何かを思い出した。


嫁の帰りが遅くなるからご飯は適当に食べてねってそりゃどうでもいいわ。帰りに弁当買って来ようのアラームだったわけだが、絶対に忘れるとふんだ昨日の私は今日の私よりも私のことをよくわかっている。だが、君が思ったよりもずっと重症だったねと、過去の自分にそう語りかけるうちにだんだんと夜は更けはしたけれど、まだまだ蒸し暑いので皆様お体を大切に。それでは。